ウブスナ

  • 2017.05.14 Sunday
  • 09:09




ウブスナ 産土と書いてウブスナと読む。
民俗学者、柳田國男は「産土」とは何か、答えを持っていなかった。
民俗学者であり「太陽」の初代編集長だった谷川健一は
フィールドワークの中で、敦賀湾に面した常宮という海村で
明治生まれの老人からある話を拾う。
この村では、子供を産小屋で産む。
その床には海のきれいな砂を敷き、その上に藁、ムシロを重ね、
一番上にゴザを敷く。
産婦が入れかわると、砂と藁を取りかえた。
その砂の事を産砂(ウブスナ)という、と、老人は言った。
谷川健一著「常世論」より、頭の隅にあった印象深い話。



生れ落ちたとき最初に触れる砂。
ここと向こう、あるいはあの世とこの世の境目か、
砂、波、海風、渚の音。
生命が海から陸へと、最初に触れたもの
もしかしたら遺伝子1つ1つに記憶されている感触、なのかもしれないと…







去年、久しぶりに両親の故郷「宮古島」へ、それは素材を巡る旅だった。
最終日、神の依代「クバ」を素材に使っているバスケットアーティスト
父方の従姉妹、小川京子姉さんのアトリエを訪ねた。
事の流れで初めて「下地の祖」の御嶽に行くことになった。
草をかき分け、オオジョロウグモのネットを棒でいくつも壊しながら
御嶽の中へ入って行く。
やがて到着した海近くのひらけたそこは霞がかかり、
周りと先にはクバや木々が生い茂り、
その前に古い石の香炉が、それを取り囲むように石が置かれ砂が敷かれている。
雨上がりの夕方だったからか?
大潮?新月、満月、それともクバを扱っている姉さんと一緒だったからか。
何百、いや何千匹?ものヤドカリが重なるように砂と香炉に群がっており、
頭上には1匹の綾蝶オオゴマダラが私達を囲むように優雅に舞っている。
どこか違う次元に迷い込んでしまったような不思議な光景に一瞬怯んだが、
香炉に向かい拝みながら直感的に、
産砂、ここは私の産砂なんだと…そう思った。







17日より個展「ウブスナ」が始まります。
緊張して眠れない日々ですが、あの日の御嶽での光景、
満ち足りた心になった事を考えながら手を動かしています。








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